使用期間のメリットについて
使用期間のメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。ではこちらの内容を詳しくお伝えしていきましょう。
採用後のミスマッチを防げる
企業側は履歴書や面接だけでは分からなかった、実際のスキルレベル、仕事への姿勢、人柄、協調性などを現場で確認できます。
期待通りのパフォーマンスかを見極め、企業文化に合わない人材を長期雇用するリスクを減らせるでしょう。
労働者側は募集要項や面接で得た情報だけでなく、実際の業務内容、職場の雰囲気、人間関係、残業の頻度などを体験できます。
想定と違った場合に、本採用を辞退したり、早期に退職を決めたりする判断がしやすくなるでしょう。
適切な人材配置につながる
試用期間を通じて、従業員の真の強みや適性、仕事への意向を詳しく把握できます。これにより、本採用後にその人の能力が最も活かされる部署や業務を判断し、適材適所の配置を実現しやすくなるでしょう。結果として、従業員のパフォーマンス向上や早期離職の防止にもつながります。
採用のハードルが下がりやすい
企業側は「仮採用」という形でお試し期間を設けられるため、最初から本採用を前提とする場合に比べて、応募者を積極的に採用しやすくなる傾向があります。
特に経験が浅い方や異業種への転職者にとって、まず会社に入って実務経験を通じて自分を証明するチャンスを得やすくなるでしょう。
本採用への移行をスムーズにできる
試用期間中に業務の進め方や会社のルール、必要なスキルを教育・指導できます。期間が終了し、本採用となる頃には、すでに戦力として業務に慣れているため、新しい環境に順応するための時間やコストを抑えられるでしょう。
企業・労働者双方が最終判断を下せる
企業側は試用期間満了時に、期待する能力・適性に満たないと判断した場合、通常の解雇よりも比較的低いハードルで本採用を見送るという最終的な判断を下すことが可能です。ただし、客観的かつ合理的な理由と社会通念上の相当性が必要でしょう。
労働者側は会社が自分に合わないと判断した際に、本採用に至る前に退職を決断しやすくなります。ミスマッチのまま働き続けることで生じる精神的・時間的なコストを抑えられるでしょう。
使用期間のデメリットついて

使用期間のデメリットについても感じる人はいますよね。ではこちらの内容を詳しくお伝えしていきましょう。
採用・育成にかける工数とコストが無駄になるリスク
試用期間中は、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)や指導、評価に、人事担当者や現場の先輩・上司が多くの時間と労力を割きます。
でもそのリスクとして試用期間の終了時、または期間中に労働者側から辞退された場合や、会社側が本採用を見送った場合、そこまでにかけた教育コスト、時間、人件費がすべて無駄になることも。
特に労働市場が厳しいケースではすぐに代替の人材を見つけられず、業務に大きな影響が出る可能性があります。
不安定な立場による精神的なプレッシャーと実力発揮の制約
試用期間中の労働者は、「見極められている」という心理的なプレッシャーを常に感じることになります。
この不安から、本来持っている実力を十分に発揮できなかったり、意見を控えてしまったりするなど、委縮した態度になってしまう場合があるでしょう。
また、通常よりも広い範囲で「解約権が留保されている」状態にあるため、雇用が不安定であるという不安が、モチベーションの低下につながる可能性もあります。
本採用拒否(解雇)をめぐる法的なトラブル
試用期間中の解雇は、通常の解雇よりは広く認められるものの、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が求められ安易にはできないことです。
「なんとなく合わない」「期待ほどの能力ではない」といった曖昧な理由で本採用を拒否した場合、不当解雇と見なされ、労働審判や訴訟に発展するリスクがあるでしょう。
労働者側:本採用後より低い給与・待遇で働く可能性
企業は労働者の適性を見極める期間として、試用期間中の給与を本採用後よりも低く設定している場合があります。
これについては労働条件として、明示されている必要があるでしょう。労働者は、本来の能力や職務内容に見合った報酬を受け取れていない状態で一定期間働くことになります。
また企業によっては、試用期間中は各種手当や賞与の算定が異なって、入社後すぐに有給休暇が付与されないなど、待遇面で不利になる場合があるでしょう。
人材が定着しにくいという負のイメージにつながる
試用期間を設けることは一般的ですが、試用期間中に本採用の拒否が多発したり、逆に入社した従業員からの早期退職が多発したりすると、企業イメージが悪化します。
「この会社は人が定着しない」「指導体制に問題があるのではないか」といった負の評判が広がり、結果的に優秀な人材の応募を敬遠させてしまう可能性があるでしょう。
まとめ
試用期間を設ける際は、これらのデメリットやリスクを回避するために、明確な評価基準と指導体制の整備が非常に重要です。
そのうえで現状を改善していく努力を、企業側がしていくことが求められるでしょう。